総入れ歯のよくある相談例
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治療中、歯が無くなると仕事にも行けません(50代女性)
質問
ぐらぐらしている歯を抜いて入れ歯にしなければならなくなり、抜いて入れ歯ができるまで、しばらく歯のない状態で過ごすことになると言われました。人と会う仕事で、行けなくなるのは困ります。抜いてすぐの入れ歯はできますか?
答え
残りの歯をすべて抜いてしまうこと、そして、歯の無い状態で過ごす日がどうなるかご心配なのですね。もちろん、歯が無い状態がないように、抜いてすぐ入れる義歯は絶対に作らなければならないと考えています。入れ歯治療は、きちんとした入れ歯を作るだけでなく、治療中も歯が無い状態にならないように、患者さんの治療中のストレスをできるだけ軽減できるように考えることは重要です。部分入れ歯にしろ、総入れ歯にしろ、当院では、歯を抜いて、特に審美性に関係してくる前の歯が無い状態でお帰りになることは全くありません。特別な方法であらかじめ入れ歯を作り、抜いた日にすぐに仮の入れ歯を入れてお帰りになれるように万全の準備をしています。患者さんが、とても心配する点ですので、治療を始める前に、その方法も具体的にお話しています。まれに、お口全体のブリッジが外れて使えなくなり、すぐに作れないか、という相談もありますが、患者さんの状況によって、可能な範囲で応急の対応をすることもあります。抜いてすぐ入れる仮の入れ歯「即日回復義歯」は、治療を始めたその日に作るというものではありません。ぐらぐらの歯でも、固定や型取りを工夫して、あらかじめ抜く日の前までに、抜いてすぐにセットできる「即日回復義歯」を準備しておき、抜歯をしたその日のうちに仮の入れ歯を装着してお帰りいただく、という治療をすることで、全く歯の無い時期をなくすことができます。場合によっては、他の歯科医院で製作したものの、痛みやゆるみで使えないという入れ歯等を改造して、一時期的にそれを仮歯として使用する場合もあります。患者さんのお口の状況は、一人として同じことはありません。まずは、患者さんのお口の中を拝見して、どのように対応できるか、どのように進めていくか、初診相談時に説明させていただきます。
総入れ歯にして、食べられるのでしょうか?(60代男性)
質問
仕事が忙しくて、ずっと歯が悪いのに、歯科医院での治療は、いつも途中で通わなくなっていました。そのため、次々と歯が無くなって、総入れ歯になるのかと思いますが、何も維持する装置が無いもので、普通の食事がとれるのか?落ちて来ないのか?と、心配です。総入れ歯で大丈夫なのでしょうか?
答え
総入れ歯についての、同じようなご質問は大変多く寄せられます。しがみつくべき歯が無いのに、落ちてこない総入れ歯にするのには、治療上、押さえるべき点があります。総入れ歯は、特に上顎の場合、入れ歯と顎の粘膜がぴったりと吸着するように作ることができれば、大変使い心地のよい入れ歯になります。ちょうど、ガラスとガラスを、水を介在させてぴったりとくっつけると、吸着してなかなか離すことができない現象と同じ原理です。ただし、それを可能にするには、高度の技術と経験を要します。治療の細かいステップを手抜きせずに一つひとつ行うことも必要です。患者さんに使っていただきながらの細かい調整を行うことと、その調整の期間も、省くことができません。当院で治療した総入れ歯をお使いになっている方たちは、果物や漬物はもちろん、するめやフランスパンも食べられるという方も多く、審美性も患者さんと相談しながら丁寧に確認するステップを設けて、可能な限り最良のものに仕上げていきますので、以前より若々しくなった、健康になったと喜ばれる方がたくさんいらっしゃいます。実は、入れ歯治療は、虫歯治療やインプラント治療など、固い歯や骨を対象にする治療に比べて、術者の技術、知識、経験によって、治療後の使い心地、快適さ、審美性などが大きく左右する分野です。治療を決める前に、歯科医院に相談に行って、実際の症例や、模型、治療の進め方などを見せてもらいながら、ご自身の納得のいく歯科医院を探されることをお勧めします。
まだ40歳前なのに、総入れ歯と言われてしまいました(30代女性)
質問
20代の頃、歯並びを治すために審美歯科に行き、全部の歯を削ってブリッジにしましたが、はずれたり虫歯になったりで、何度も付け直すうちに、もうだめだから総入れ歯だと言われて、こんな若いのにとショックで眠れません。
答え
「若い時の大きなブリッジ治療がダメになった。」「歯周病が一気に進んで、全部の歯がぐらぐらになった。」など、30代でも、40代でも、たくさんの歯を抜かなければならなくなる人はいらっしゃいます。とは言うものの、いきなり"総入れ歯"と言われれば、ショックを受け、不安になるのは当然だと思います。そのうえ、抜いてから入れ歯ができるまで、歯のない時期がある、などと言われると、仕事ばかりでなく近所の買い物にも行けない、あるいは、歯が悪いことを内緒にしていた家族にも知られてしまうのは困る…と思い悩むことが増えてきます。それらの対応策をご説明していきますが、まずは、本当に全部の歯を抜かなければならないのか、また、義歯以外の方法はないのか、義歯でない場合のメリット、デメリット、義歯のメリット、デメリットを考えていくことが何よりも重要です。もちろん、総入れ歯になっても、支障なく生活をされている方、以前より不安なく生活をされている方はたくさんいらっしゃいます。その一方で、将来的なことも考慮しながら、インプラントを選択している方、あるいは、今は義歯にするけれど、近い将来、インプラントに替えたいという方、など、いくつかの選択肢がある場合も少なくありません。または、全部の歯を抜くのではなく、何とか残せる歯を残して、治療後に抜くことになっても簡単に修理ができるような設計の部分入れ歯にすることも検討できるかもしれません。患者さんから「私みたいに歯の悪い人はいませんね、先生が見たら驚きます」とよく言われますが、当院には長年にわたっての、年齢が若くても重症の方の多くの治療実績があるため全く驚くことはありません。まずは、経過を伺い、希望を伺い、お口の状況を拝見することから、具体的な方法をお話しすることができます。
夜、入れ歯を外すと旅行にも行けないし、地震の時心配です(50代女性)
質問
長い間、治療に通っていましたが、だんだん歯が抜け、いよいよ義歯と言われました。でも、旅行が趣味で、夜入れ歯を外すことになると、友達との旅行に行けなくなってしまいます。また、夜中、入れ歯を外しているときに地震が起きたら、あわてて入れ歯のないまま飛び出しそうで、そのことも心配です。夜、外さない入れ歯ができますか?
答え
夜、入れ歯をはずすことは、患者さんにとって、大変重要な問題で、ご心配になるのは、当然のことだと思います。実は、1995年(平成7年)1月17日の阪神・淡路大震災の発生が、早朝、6時前であったため、入れ歯をはずして寝ていた方の多くが、入れ歯を紛失したり、探し出せなくて、大変不自由な思いをされたことをご存じでしょうか?いつも入れ歯を使っている方が、入れ歯がない状態でいることは、食事の問題だけでなく、社会的にも、精神的にも大変な苦痛です。災害時において、たとえば洋服や他のものであるなら、どこかから借りてきても代用できますが、こと入れ歯に関しては、他の人のものを借りることはできません。阪神・淡路大震災の時は、近隣の歯科医師会が中心になって、ボランティアで、入れ歯作成に尽力し、多くの方に喜ばれたという話も耳にしています。入れ歯を使っている方の多くは、「入れ歯は夜間、粘膜を休めるために、はずして、水に浸けておくように」との、指導を受たことでしょう。しかし、萩原歯科医院で治療をした患者さんには、ほぼ全員の方に、「夜も入れ歯をしたまま、寝てください。」と言っています。ここで、はっきりとお断りしなければならないのは、萩原歯科医院の治療した入れ歯に限定したお話ということです。様々な条件をすべて備えた当院の入れ歯に限り、夜間は外さないほうが良いというのが私の考えです。改めて確認をしておきますが、清掃状況が悪い場合や、入れ歯が合っていない場合など、夜間に入れることが、マイナスになることも多いものです。私は、あくまでも、私が治療をした患者さんには、条件を満たしたうえで、「夜間は入れ歯をしたままで休んでください」と、お話しています。東日本大震災も場合も、避難所での食事が噛みにくいことで、不自由な思いをされた方も大勢いらっしゃいます。夜外さないことも大切ですが、お使いの入れ歯が、普通の食事が取れるものであることも、とても重要です。