コーヌス義歯による部分入れ歯(バネのない義歯)
入れ歯の針金が見えない形に(70代女性)
残っている歯は上下共4本ずつで針金の無い入れ歯
入れ歯とわからない仕上がりです(20年経過)
当院を受診されたきっかけは?
食事、会話での大きな不満はありませんでしたが、趣味で通っているシャンソン教室の発表会の時に部分入れ歯の針金がライトに光り、毎年、人知れず悩んでいました。外れるのではないかとの心配も、頭のどこかにいつもあります。以前は、友達との旅行が大好きでしたが、入れ歯になってから、なんとなく旅行への積極性もなくなってきました。
患者さんの希望は?
入れ歯であることが他の人に分からないことです。そして、入れ歯を気にせず、思い切り大きな口をあけてシャンソンを歌いたい。
治療の方針は
バネを使わない入れ歯の設計をしましょう。このところ金属製ではなくピンクのバネの入れ歯という話題もありますが、耐久性の問題がまだ十分に解決されていません。金属の骨組みを使いながら、バネの問題に対応する特殊装置(コーヌス義歯)を使いましょう。
治療後の状態は?
入れ歯を維持する力が強いコーヌス義歯なので、義歯をはずすのが大変なほど、しっかりと装着されています。大きくお口を開けて歌っても、ばねが無いため、入れ歯であることが他の人にわかりません。患者さんは、発表会で、気持ちよく歌うことができたと、喜んでいらっしゃいました。
この患者さんのケースでは、コーヌスという特殊な精密な装置を使った部分入れ歯を作りました。お茶のふたのようなごくわずかの傾きを持たせた二つの冠を作るには、お口の中での歯の削り方や設計だけでなく、それを作りあげる技術を持った技工士の存在が欠かせません。患者さんの希望される生活の質(QOL)を何とかして獲得するために、技工士と二人三脚で作り上げました。明るい表情でメインテナンスに来院される患者さんを、私たちはいつも楽しみにしております。