ほとんど歯がない人の部分入れ歯(40代女性)
もう歯を失いたくない、長く使える入れ歯を(40代女性)
上顎は高性能磁石を使い、残った歯と入れ歯を維持します
下顎は前歯を連結して補強
下顎は前歯を連結して補強
当院を受診されたきっかけは?
15年ほど前から歯周病がひどくなり、歯を2本抜いた時から、部分入れ歯を使うようになりました。が、これまでの歯科医院では歯を残すことにあまり熱心ではなく、針金をかけている歯を一本、一本と抜くことになりました。現在は、上顎に2本、下顎に前歯6本あるだけです。先日、ついに、もう後は、総入れ歯しかないと、言われましたが、40代で、上下とも総入れ歯になるのかと思うと、いたたまれなくなり、当院を受診しました。
患者さんの希望は?
入れ歯を作っては歯が弱くなり、また入れ歯を作り・・・ずっと歯の治療を繰り返し、そのたびに歯が少なくなってきました。もうこんな思いはしたくありません。これ以上、1本も歯を失いたくないし、長く使える入れ歯を作りたいとも思います。とにかく、これで治療を終わりにしたい。それが私の切実な願いです。
治療後の状態は?
上顎はマグネット(高性能磁石)を使って、残った歯の保存と、入れ歯の安定を図っています。下顎は、残っている前歯を連結して、補強しました。さらに、将来的に下顎の歯を失うことになっても、簡単に修理がでるような形に設計をしておきました。この入れ歯を作ってから25年経ちますが、定期的な検診と患者さんご自身のお手入れがきちんとなされ、入れ歯も残った歯も健康な状態です。
どの患者さんにとっても、総入れ歯(総義歯)になることは、できるだけ先に延ばしたいものでしょう。特に若い患者さんほどその思いは強いものでしょう。この患者さんの残っている歯は少なく、1本でも抜きたくないということが強いご希望でした。
このような場合、入れ歯(義歯)の設計が残っている歯に負担をかけてしまい、1本1本と歯が弱っていってしまうこと、歯周病の治療が不十分で支える骨がなくなってしまうことの2点に注意して診療を行わなければなりませんでした。患者さんは毎日のお手入れにもよく協力してくださり、入れ歯装着後も1本も歯を抜くことがなく健康に過ごされています。