院内感染防止対策
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米国スタンダードプレコーション(標準感染予防策)を基にした衛生管理
当院ではスタンダードプレコーション(標準感染予防策)の概念に基づいて、感染予防の環境を整え、ご来院いただく皆さまに安心して治療をお受けいただけるように、衛生面には特に細かい点まで配慮したシステムを構築しております。
近頃、歯科医院の滅菌対策が不十分であるというニュースが報道され不安に思われる方もいらっしゃると思います。実際に、萩原歯科の以前の診療所は、一つのフロアに治療椅子が並び、それぞれを衝立(ついたて)で仕切っただけの部屋でした。口腔外バキュームも設置されていない。そしてもちろん、感染予防の配慮ができる個室診療でもありませんでした。
20数年前、診療所を池袋に移転するための重要な課題の一つが「院内感染予防対策がとれる診療所の環境を作り上げる」ということでした。ここで、当院が取り組んできた院内感染予防システムをご紹介させていただきます。
スタンダードプレコーション(標準感染予防策)とは
スタンダードプレコーション(標準感染予防策)とは、院内感染予防の標準対策として、米国疾病管理予防センタ―(Centers for Disease Control and Prevention :CDC)によって作成された、すべての患者さんおよび医療従事者に推奨されているものです。
それは、病原微生物の感染源確認の有無にかかわらず、血液、全ての体液、汗を除く分泌物(唾液、鼻汁、喀痰、尿、便、腹水、胸水、涙、母乳など)、排泄物、傷のある皮膚、そして粘膜は感染の原因になりうる、という考えに基づいて、滅菌消毒を行い、環境管理などの院内感染対策を行って、患者さんと医療従事者双方の院内感染の危険性を減少させようという予防策です。
歯科は血液や唾液に触れるため厳格な感染予防と滅菌消毒が必要
歯科は、内科など血液に触れる機会が少ない科に比べると、厳格な感染予防や、しっかりした滅菌消毒がとても重要な診療科です。内科では、聴診器に血液が付着することも、医師やスタッフが他の患者さんの唾液や血液に直接触れる機会もあまり多くないと思います。
しかし、歯科治療は必ずお口の中での治療を行うため、すべての器具が唾液に触れます。唾液だけでなく、歯肉からの出血や抜歯、歯周外科手術などの出血にも触れなければできない医療行為です。スタンダードプレコーション(標準感染予防策)によると、血液だけでなく唾液も滅菌消毒を徹底して行って感染予防をしなければならない対象です。つまり、歯科は、内科よりも手術などを行う外科に近いと考えて感染予防、滅菌消毒、そして治療環境やシステムを整えていかなければなりません。
萩原歯科医院の感染予防対策
手指衛生の徹底と使い捨て用品(ディスポーザブル品)の使用
意外に思われるかもしれませんが、正しい手洗いを励行することは、感染予防にとって大切な行動です。 手術で血液などが付着した器具でも、まず行うべきは、十分な水洗です。 患者さんごとの手洗いはもちろんですが、萩原歯科医院のスタッフは、場面ごとにまめに手洗いを行います。院内感染を防ぐために、面倒がらずに手を洗うことを励行しています。 そして、可能な限り、使い捨て用品(ディスポーザブル品)を使用することも重要です。
コップ、エプロンはもちろん、治療に使う薬剤をテーブル上で出すための容器も使い捨てにしています。また、基本的な器具を乗せる金属のトレーも使わずに、治療器具を置くテーブル全面を使い捨てのシートで覆って、一人ひとりの治療ごとに廃棄、交換しています。 金属のトレーを使用するよりも広い面積を使い捨てシートで覆うことで、他の患者さんの唾液や血液の付着をより厳格に防ぐことができます。
クラスB滅菌器を導入
歯科治療では、使い捨てできない医療器具が大変多く、滅菌器の使用が必要で、当院では開業当時から高圧蒸気滅菌器と高圧アルコール蒸気滅菌器を使用してきました。 滅菌器とは、内部が高圧、高温状態が保たれることでウィルスの除去が行える機械で、無菌状態にすることができるものです。 滅菌器にはグレードがありますが、当院では最も厳しいとされるヨーロッパのクラスBという基準を満たす最高水準の滅菌器を2017年より導入しました。
プレポストバキューム式高圧蒸気滅菌器(クラスB)について
現在、国内の歯科医院に普及するオートクレーブは重力置換式高圧蒸気滅菌器が主流ですが、真空ポンプによってチャンバー内の空気除去を行うプレポストバキューム式高圧蒸気滅菌器(クラスB)が最も高性能です。滅菌機の内部を真空にすることで、複雑な形状ものや、内部に管腔構造を持つ滅菌物の滅菌も可能で、多くの滅菌物に対応可能で大変優れているとされています。 当院で使用しているものは、EN13060 クラスB準拠のデントクレーブ STERI-B滅菌器です。
器具は個別滅菌パック・タービンも患者さんごとに徹底的に滅菌処理
外科用器具はもちろん、タービンやほかの器具の数を余裕もってストックし、患者さん毎に徹底的に滅菌処理しています。 また、基本的な器具は滅菌パックで個別に滅菌し、患者さんごとの滅菌処理を慎重に行っています。
口腔外バキュームの使用
歯科治療は、エアータービン、電気エンジン、超音波スケーラーなどを口腔内において注水下で使用することが多いため、的確なバキューム操作を行うのは当然です。口腔細菌を含んだエアロゾルの飛散を防ぐ対応も重要で、そのための口腔外バキューム装置もすべての治療ユニットごとに備えています。 例えば、口腔内で使用して唾液や血液に汚染されている義歯を、口腔外で調整する際も、切削粉の飛散をできるだけ軽減するために、口腔外バキュームによる吸引処置を必ず行います。
高温滅菌ができない器具類は、高水準消毒剤などによる薬液浸漬処理
歯科の診療器具の中には、高温滅菌ができないものが少なくありません。 医科でも、医療内視鏡などの消毒は消毒液による対応になっているようですが、使われる消毒液は、処理が可能な微生物の分類によって高水準、中水準、低水準と3つに分けられています(E.H.スポルディングの分類)。 当院では、浸漬が可能なものは、細菌芽胞やB型肝炎ウィルスを含めほぼすべての微生物に有効で滅菌的効果も期待できる高水準消毒剤を使用しています。
手に触れるすべてのものに感染予防のための保護用ラッピングシートを貼る
実は、感染予防対策で、最も重要な部分が、滅菌消毒の機械にかけることができないもの、高水準消毒液に漬けることができないもの、つまり、スイッチやボタン、レバー部分などです。 当院では、それらを低粘着性の保護用ラッピングシートで覆い、患者さん毎に、すべて廃棄、交換しています。 このような部位は、汚染されたかどうかわかりにくいため、誰か一人が汚い手で触ってしまうことで、清潔を保っていた環境が、一瞬で台無しになってしまいます。スタッフ全員の理解と連携ができて初めて達成できる対策です。
萩原歯科医院で従事するスタッフは最初の数か月間、徹底的に、感染予防の概念を学びます。他の歯科医院や病院でもここまで徹底した感染予防対策を取っているところは少ないため、新しいスタッフには最も難しい課題のようです。 たまに歯科衛生士が見学にくると、歯科大学以上の衛生管理をしていること、教科書では習ったもののここまで徹底した衛生管理が実際にできることに、一様に驚きの声を上げます。 患者さんのため、スタッフのために構築した萩原歯科医院の自慢の衛生環境です。
治療中、電話の受話器を取ることはあり得ない
私は、一度治療に入ると、電話に出て受話器を持つことはありません。 電話の受話器を触わる前後に、手洗いをする必要が生じるからです。 緊急の場合は、受付のスタッフに受話器を耳に当ててもらって電話に出ることもありますが、電話の受話器を触った手で患者さんのお口の中の治療をすることは決してありません。
治療中、引き出しの開け閉めも、自分の手で行うことはありません。 医科の外科手術の最中に、受話器を取る医師ないないはずです。 不用意に電話や引き出しの取っ手を触っていては、厳格な感染予防はできていないことと同じです。 一度手をきれいにしたら、治療が終わるまで、清潔な状態を慎重に保つことは、歯科治療では大変難しいことですが、患者さんの見えない利益として、院内感染予防対策には譲れない思いがあります。
清掃の徹底・ホコリなどがたまりにくいような床面の整理
診療室の治療ユニット以外の部分の清掃の徹底も見過ごしてはいけません。 大阪府歯科医師会の歯科診療所のスタッフのための院内感染対策ガイドには、診療室の床に電気コードが這っている状態は、ほこりが溜まりやすいので注意すべきであるという細かいところまでの記載があります。 衛生環境を維持するためには、スタッフの高い意識と、診療室全体の細かいところまで配慮をすることが必要です。
東京池袋で衛生管理を徹底している歯科医院をお探しの方へ
歯科医院では、お一人お一人のお口の中を特殊な専用器具で治療することから、除菌衛生面で徹底した管理体制が必要なのは言うまでもありません。池袋で安心安全の歯科医院をお探しの場合は、当院へお越しください。